院内感染を除く通常の肺炎(入院中ではなく、自宅で普通に生活されておられる方が発症される肺炎の事で、市中肺炎とも言います)の原因菌には様々なものがありますが、そのうち最も多いのが肺炎球菌で、市中肺炎の原因の約3~4割程度を占めると考えられています。肺炎球菌ワクチンは文字通りこの肺炎球菌による肺炎を予防するもので、当然の事ながら他の原因菌による肺炎を予防する事は出来ません。したがって、このワクチンを接種したからといって絶対に肺炎にかからないわけではありません。
また、インフルエンザ同様肺炎球菌肺炎の場合にも治療薬がありますので、発症してから治療する事も可能です。ただ、最近肺炎球菌の中にも抗生物質の効きにくい菌、いわゆる耐性菌が出現しており、発症してからの治療が難しい症例が存在するのも事実です。
肺炎球菌ワクチンは、一度接種すると約5年間効果が持続すると考えられています。効果をずっと持続させるためには5年ごとの再接種が必要ですが、再接種時は初回に比べてやや副反応が強く出る可能性があり、あまり何回もの接種は避けたいところです。したがって、比較的高齢で、肺炎に罹患することによって受けるダメージが相当に大きいであろうと推測される方、肺やその他の臓器に何らかの持病をお持ちの方に対して、主としてお勧めしております。また、最近は一定の年齢に達した人に対して接種費用の助成が行われておりますので、それを機会に接種される方も少なくありません。
肺炎球菌ワクチン接種に関しては、いつでもご遠慮なくお問い合わせ下さい。