
舌下免疫療法
舌下免疫療法
聞きなれない言葉が出てきましたでしょうか。
言葉通りに説明すれば、舌の下(裏)側に薬剤を投与することで、免疫に働きかける治療法、というような意味合いになると思います。
この治療法の目的は、現在使用可能な薬剤の種類の関係で、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎の症状を和らげること、ということになります。
具体的には、毎日、アレルギーの原因になっているもの=アレルゲンを少量ずつ舌下に投与し、アレルゲンによって引き起こされる症状を緩和する治療です。前述の通り、薬剤として使用できるアレルゲンがスギとダニに限られますので、スギによる花粉症の方やダニによるアレルギー性鼻炎の方の症状を和らげるための治療が現在は存在するということになります。
今回、このタイミングで舌下免疫療法について述べさせていただくことにしたのには理由があります。それはスギによる花粉症の時期がようやく過ぎようとしているからです。ダニのアレルギーは通年性のものですが、スギ花粉症は季節が決まっているものと思います。症状が最も強く出ている時期の治療開始は勧められておらず、これから症状が治まってくる時期こそが、来年のスギ花粉に向けて治療を考えるのにちょうどいいタイミングだからです。
決してすべての方に効果を認めるということを保証するものではありませんが、臨床試験の結果では、およそ80%の方に効果を認め、20%の方が症状消失、60%の方が症状の部分的改善を認めたとされています。
スギがアレルゲンであることを証明しなければならないので、当院の場合では血液検査でそれを確認することになります。治療の開始にあたっては、この確認が必要になります。
続いてみなさんが気になるであろうことは、治療期間ではないかと思いますが、この答えは、3~5年です。それより短い期間で治療を終了してしまうと、治療効果の持続時間が短くなってしまうと言われています。
治療開始当初は、強過ぎるアレルギー反応が出ないかどうか、密な通院が必要ですが、順調に経過されれば、以降の維持治療期は間をあけることが可能です。
長い治療にはなりますが、今後一生毎年春は辛い季節になる、ということと比べればとてもお勧めな治療と考えています。
ここまで期待させておいてなんですが、現在のところ治療できるアレルゲンはスギとダニだけですので、それ以外が原因の方には治療をご提案できません。またそれ以外では、気管支喘息が重症過ぎる方もリスクが高く避ける必要があります。
舌下投与という特徴からは口腔内に傷があると想定した薬剤の吸収と異なってしまうため治療できませんし、その他にも常用薬の種類によっては併用できないものがありますので、もしご興味がある方は、一度お問い合わせください。
TOP