昨年秋より、服用希望者の予想以上の増加のため品薄状態にあったチャンピックス錠の流通がほぼ正常化したことに伴い、内服による禁煙補助治療の予約受付を再開いたしました。治療ご希望の方は、まずお電話で診療日の御予約を下さい。なお、現在インフルエンザもピークにさしかかり、診療所が混雑する傾向にあります。時間に余裕を持って受診していただきますようお願い致します。
禁煙を希望して当院を訪れる方が増えています。タバコの値上げも関係あるのかも知れませんが、何と言っても内服薬(チャンピックス)による禁煙法が好評のようです。「知り合いがこの方法で止めたので」といったような口コミで来院される方も多いようです。製薬メーカーの予想をはるかに上回る売れ行きに生産が間に合わずに品薄状態となっており、このため当院でも当面新規の患者さんの受付をやむなく休止しているという状況です。
このお薬のいいところは、他の方法(貼り薬やガム)と違ってニコチンそのものを使用するのではないという点でしょう。ニコチンそのものを補充する従来のニコチン代替療法では、仮に一旦禁煙に成功したとしても、ニコチン製剤であるガムや貼り薬を中止する時にニコチン切れが起こるため、再喫煙のリスクが高いことが予想されます。これに対して内服薬はニコチンそのものではないため、内服期間中に禁煙の習慣さえついてしまえば、内服中止後に再喫煙のリスクが急に増加することは理論上ないと考えられます。また、ニコチンそのものを利用する方法では、ニコチンをタバコ以外の方法で補充することになりますので、治療を開始するや否や一気に喫煙を0にする必要があります。つまり、貼り薬やニコチンガムを使用しながら喫煙するということは、絶対やってはならないわけです。一方、内服薬はニコチンの作用を出にくくし、平たく言えばタバコをまずく感じるようになることによって禁煙を補助しようというものです。なので、内服当初は少々喫煙が続いても問題はありません。内服薬を服用しながら喫煙することで、タバコのまずさを実感していただいた上で徐々に0にしていただければよいのです。このあたりも、禁煙のストレスを減少させることにつながるでしょう。
来年初め頃には薬の供給も安定すると思いますので、禁煙しようという方はご相談下さい。
毎日暑い日が続きますね。高齢者の場合,室内で通常の日常生活を送っているだけでも熱中症を発症する可能性がありますので,注意が必要です。「体に悪い」などと思わずエアコンを遠慮無く使うこと,こまめに水分補給することなどが大切でしょう。
ところでこの猛暑,やはり地球温暖化の影響なのでしょうか?
私はそうは思いません。というか,地球温暖化に代表されるいわゆる環境問題には,かなりのウソが含まれていると考えています。「地球を守るため」とか,「環境にやさしい」とか言う美しい言葉にみんな弱くて,これを言われると誰も面と向かっては逆らいにくい。そして,それをいいことに真っ赤なウソがまかり通っているのがこの世界のようです。私は,環境問題というのは完全な政治マターであると思っています。
たとえばゴミの分別。どんないいことがあるのでしょう?生ゴミは燃えにくいがプラスチックは燃えやすいので,いっしょに燃やすとそれだけで十分燃えるのに,分別して生ゴミだけにすると燃えないので重油をかけて燃やすのです。これって環境にやさしい選択でしょうか?そんなこと言っても,プラスチック燃やしたらダイオキシンが出ますって?ダイオキシンが猛毒なら,焼き鳥屋さんは全員早死です。なにしろ,目の前でダイオキシン作って吸い込みながら日々暮らしているわけですから…。しかし,実際にはそんなことはありません。ダイオキシンは猛毒ではないからです。
地球温暖化のいったい何が悪いのでしょう?地球誕生以来,この星では10度や20度の気温の変動は何度か繰り返されてきました。それでも地球はこのとおり無事です。そもそもその気象変動の中で生き物が大量に死滅したり,種が絶滅したりしているのは地球が「寒かった」時であって,地球が暑いことが生物に致命的な影響を与えたことなどないのです。温暖化で北極の氷が溶けると海面が上昇する??そんなバカな!北極の氷は全て海に浮いているのです。コップにぎりぎり一杯注がれた氷水を放置して,氷が溶けると水はあふれるでしょうか??そんなバカな!!
私はハイブリッド車も使用せず,不経済に石油を消費し,CO2をまき散らしております。しかし,それがどうしたというのでしょう?石油は作れるものじゃないし,無限にあるものでもありません。いつかは必ずなくなるのです。われわれが少々みみっちく節約したところで,中国を筆頭にBRICs諸国が気前よく使ってくれるし,それを止める手だてもありません。なら,いっそ石油なんて早くなくなったほうがいいではないですか。昔懐かしい人間らしい暮らしに戻って,地球温暖化も自然に沈静化することでしょう。
石油がなくても人間は生きられますが,食べ物がなくなればアウトです。つまり,人類にとって真の環境問題とは食糧問題に他ならないのです。バイオエタノールなどもってのほかの愚行と言えましょう。食べ物から燃料を作るなんて,そんな罰当たりなこといったい誰が考えたのでしょうか。この愚かさに比べれば,人間がクジラを食べることくらいたいしたことじゃない。なのに何でしょう,日本の調査捕鯨船に抗議していたあのごろつきみたいな環境保護団体の連中は!あれこそ「環境保護」という錦の御旗を振れば何をやっても許されるというとんでもない勘違いの典型ではないでしょうか!
とにかく言えることは,「環境問題」は高度な政治問題であり,わが国はそのかけひきの中で大ババを引いているということで,京都議定書はそのシンボルなのです。すでに先進国中最もクリーンで環境にやさしい暮らしを実践していたわが国が,当時非効率な東側諸国を飲み込んだために随分とCO2を吐き出していた(したがって排出量削減の余地が十分にあった)ヨーロッパ諸国と同じレベルの数値目標を喜々として受け入れたのですから…。実行できっこないわけです。その結果,数年後には「CO2排出権取引」という名目のもと,われわれの血税が何十億も何百億もロシアあたりにむしり取られていくのでしょう。
というわけで,もったいないなどと言わず,じゃんじゃんエアコンを使って,熱中症を予防しましょう!その結果外気温は上がりますが,これは地球温暖化などではなく,単なるヒートアイランド現象の一部です。
平成22年4月1日より,月,水,金の午後の診療時間を変更させていただきました。お間違えのないようよろしくお願いいたします。
生活習慣病予防に運動が有用であることには異論がないでしょう。この際の運動としては,適度な有酸素運動を一定時間,できれば30分以上続けて行うことが肝要です。100メートルを全力疾走しては30分休憩してまた全力疾走,というような運動の仕方は,心肺機能の強化にはよいのかも知れませんが,生活習慣病予防にはあまり向きません。第一,高齢者の方々にこんな運動無理ですよね。「適当な有酸素運動」とは,運動時の心拍数に対して安静時の心拍数が60~70 %くらいになる程度の強度がよいと考えられています。安静時の心拍数が毎分70回ならこれが110回前後になるくらいということになります。比較的誰にでも出来てこの強度に合致する運動となると,速歩で歩くというのが一番でしょう。
周辺に気持ちの良い散歩道でもあればよいのですが,私の場合はもっぱらジムでベルトコンベアーの上を歩いています。ただ歩くのは退屈なので,歩きながら読書をします。面白い推理小説やサスペンスものなどを読んでいると1時間くらいあっという間に経ちますし,時には政治,経済もののノンフィクションや医学雑誌で情報収集もできます。
そこで,最近私がはまっているのが,リーボック社から発売されているイージートーンというシューズです。ちょっと色っぽいTV-CMに見覚えのある方もいらっしゃることでしょう。何を隠そう私も,そのCMで知って早速購入しました。この商品は靴底,つまり接地面が球面になっているところがみそです。これによって歩行時足もとの安定性がやや悪くなるために,余分に下肢の筋肉を使うことになり,筋力強化や脂肪燃焼につながるというのです。
実際使用してみるとこれがなかなかいい!不安定になるといっても決して転んでしまいそうになったりするわけではなく,なんとなくふわふわとスポンジの上を歩いているような感じで,膝関節への負担が少ないように思います。私はいつも同じ速度でベルトコンベアー上を歩いているのでよくわかるのですが,普通のスニーカーで歩いた場合と比べて,確かに下肢の筋肉に効いている感じがします。特にふくらはぎや大腿後部の筋肉によく効いているようです。それでいて,息が切れが早くなったり,そのせいで歩行距離や歩行時間が短くなったりするようなことはありません。きれいな脚をお望みの向きには,結構お勧めかも知れません。
しかしこの靴,考えてみればわざわざ歩行を不安定にしているわけだから,靴としては欠陥品ですよね。でも,その欠陥が現代社会のニーズに合っている。何だか皮肉な話です。
インフォームドコンセントという言葉をご存じでしょうか?最近随分ポピュラーになったので、お聞きになったことのある方も多いでしょう。「これから行おうとする手術や治療などについて十分な説明を受けた上での患者さんの同意」という意味で、医療の世界ではもう10年も20年も前から使われてきた言葉ですが、いまだに適当な邦訳がなく、「インフォームドコンセント」とカタカナのままで語られることが多いようです。この言葉は、「契約の国」米国で多発する医療訴訟を背景に生まれた言葉で、いつまでたっても適当な訳がないということは、従来わが国にはなかった概念なのだと思います。
さて、折からの世界同時不況のあおりで実損や含み損を抱えられた方も多いことでしょう。中でも悲惨なのは外貨建てのファンドに投資していた場合です。ファンド自身の運用成績が振るわないうえに円高による為替差損が加わり、その資産価値の減少は目を覆うばかりです。ファンドの申し子の一人であるジョージ・ソロス氏は自身の著書の中で、「ファンドは投資家から資金を集めて運用し、利益を出せば成功報酬を取るが、損失が出ても全て投資家の自己責任であり、ファンドは責任を負う必要がない。この状況ではどうしてもモラルハザードが生じる」という意味のことを述べています。ファンドのど真ん中にいた人の語るこの言葉は非常に重いものだと思います。確かに、細かい字で書かれた分厚い目論見書を渡され、サインしないと投資することができないようになっていますね。これも一種のインフォームドコンセントです。「説明を受けたうえで同意しました」ということになり、「損しても自己責任ですよ」ということになります。こんな無責任なものに大事な資産を託すことそのものが間違っていますね。
しかし、医療の世界もインフォームドコンセントという概念の導入によって、こういう世界に近づいているように思えてなりません。検査や手術を受ける時、その説明を受けた後に必ず同意書というものにサインしますね。幸か不幸か、医療の世界では今のところ「同意書のサイン=自己責任」ということにはなっておらず、同意書にサインがあっても検査や手術で不都合な合併症などが起きて患者さんに不利益が生じた場合には、医師が責任を問われることが多いようです。そしてこのことが萎縮医療や、ひいては医療崩壊の原因の一つであることは否めません。どのような検査であれ、手術であれ、たった1錠のお薬を飲むことにさえ、一定の確率で起こりうる合併症や副作用というものがあります。そのことを事前に説明し了承していただいた上で治療を行ったのに、結果が悪かったからといって訴訟を起こされる、というのでは誰も危険な手術や検査に手を出さなくなるでしょう。だからといって「同意書のサイン=自己責任」っていうのも困りますね。医師が自らの責任を回避するために、万に一つしか起こらないような合併症や副作用までくまなく記載しようとすると説明書、同意書はどんどん分量が増え、そのうち保険の約款みたいになってしまうでしょうね。風邪で医者にかかってお薬をもらうだけでも分厚い同意書にサインさせられたりして…。いやですね、そんなの…。
「事細かに説明したうえで患者さんの同意を得る」といえば聞こえはいいのですが、インフォームドコンセントというのは要するにプロがプロであることを放棄することに等しいように私には思えます。プロである医師が、素人である患者に判断を委ねるなんておかしくありませんか!?こういうおかしなことが、医療の世界以外でもあちこちで起こっているような気がします。民主主義の成熟に伴い、国民の権利意識が強まるのは結構なのですが、権利には必ず義務が伴うこと、そして行き過ぎた権利意識の増大は結局、己に厄災としてふりかかってくることもあるのだということを、私たち一人一人が十分に認識しておく必要があるのではないでしょうか。
連日、新型インフルエンザの話題がマスコミ等で取り沙汰されています。厚労省はワクチン接種の優先順位の大枠をようやく決めたようですが、まだまだ問題は山積です。医療従事者を優先するというが、医療従事者とはどこまでを含むのか、合併症のある人を優先するというが、合併症があることを誰がどのようにして証明するのか、しないのか、またとくに輸入ワクチンの場合、使用して合併症が起こったときの責任は誰がどうとるのか、そもそも何処で、誰がワクチン接種を行うのかなどなど、とうてい間に合いそうもありませんね。このタイミングでの政権交代ってのも、ちょっと間が悪いですし…。
そもそも、インフルエンザ感染者に死亡者が出る度に、直接死因がインフルエンザであるかどうかをろくに検証もせずに、「新型インフルエンザで死亡」という報道を垂れ流すのはどうかと思います。合併症があろうとなかろうと、毎年インフルエンザで亡くなる方は一定数おられます。例年はそんなことをいちいち報道しないだけです。ですが、ニュースを見る側からすれば、今年に限って派手にこういう報道がされれば、今年に限って、新型に限って、どんどん死者が出ているかのような錯覚に陥りがちです。今のところ、新型インフルエンザが強毒化したという根拠はなく、通常の毎年遭遇する季節性のインフルエンザ程度の毒性ということなのですから、例年に比べて特別な取り組みをする必要があるでしょうか?
熱が出たり、熱はなくても風邪症状があったりすると、「インフルエンザかどうか検査して下さい」と言っておみえになる患者さんが随分増えました。会社や学校がそれを奨励している、あるいは半ば強制しているという点もあるのでしょう。しかし、迅速検査法に頼るのはナンセンスであるばかりか危険でさえあります。この検査は、よく知られているように検査するタイミングが早すぎると正しい結果が出ないことがしばしばありますし、適切な時期に検査したとしてもその結果は決して絶対ではありません。検査陽性である場合はインフルエンザである可能性が非常に高いですが、陰性であってもインフルエンザでないということの証明にはならないのです。ですから、この検査に頼りすぎて陰性であるから安心して学校や職場に行くだとか、陰性だから症状が重そうでも抗インフルエンザ薬を使用しないというような判断は非常に危険です。あくまで症状や患者さんの置かれた状況等を加味して総合的に判断、対処すべきものでしょう。
今のところ、まだ爆発的な感染者の増加にまでは至っていないようですが、引き続き季節性インフルエンザの流行期に繋がってだらだらと流行が続くことが懸念されます。正しい情報に基づく冷静な対応が望まれます。
COPDという病気をご存じですか?横文字だし,あまり耳慣れない言葉でしょうか?
COPDは,Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字をとったもので,日本語では「慢性閉塞性肺疾患」と訳されます.有害なガスなどの吸引で,緩徐に肺機能低下が進行し,多くの例が酸素を必要とするようになり,ついには死亡に至る病ですが,この「有害なガス」の代表格がタバコの煙,つまりは喫煙です.少なくともわが国では,タバコを吸わない人がCOPDに罹患する確率はほぼ0です.「ほぼ」と言ったのは,周りにヘビースモーカーが大勢いる人は,副流煙の影響が無視できないからです.要するに,COPDの原因はほぼ100 %タバコにあるとも言えます.
しかし,喫煙者が全員COPDになるわけではありません.タバコをぷかぷかやりながら90歳まで元気で長生きされる方ももちろんいらっしゃいます.これは,タバコに対する感受性に個人差があるからだと考えられます.タバコの煙に強い人,弱い人がいるということですが,残念ながら今のところそれを見分ける方法がありません.
COPDでは,歩行時の息切れなどの症状が極めて緩やかに進行するため,症状を訴えて病院を受診する頃には,すでにかなり進行した状態であることが少なくありません.もちろん,全ての喫煙者が禁煙することが望ましいことは言うまでもありませんが,喫煙される方は少なくとも年一回くらいは肺機能検査をお勧めします.その時の肺機能だけでなく,定期的に行うことで肺機能の経時的な変化を知ることができます.そしてこれが,先に述べたタバコ感受性を予測するための最良の手段となるのです.非喫煙者でも年齢とともに肺機能は少しずつ低下します.しかし,もしそれをはるかに上回るペースで肺機能が低下しているとすれば,その人はタバコに弱い人で,喫煙を続けるとほぼ確実にCOPDになります.着々と弱っていく自らの肺機能を見せつけられれば,禁煙への強い動機付けにもなることでしょう.
年末に危惧していた新型インフルエンザですが,予想とは違う形で騒動を起こしましたね.成田で患者が発見された時点で国内発生は時間の問題と思っておりましたが,まさか第一例がよりによって神戸で発見されるとは思いませんでした.
今度の騒動は,実際に強毒性の感染症が入ってきた場合の危機管理モデルとして,正しかった点や問題点を整理しておく必要がありそうです.また,そうでなければ大騒ぎした意味がありません.
まず水際作戦.全く無駄だとは言いませんが,少しやりすぎでしたね.どのみち水際で完全にくい止めるということは不可能で,せいぜいその時点ではっきりとした症状のある人を隔離する位のことしかできないわけですから,検疫所での検疫を少々強化するだけでよかったと思います.機内検疫は明らかにやりすぎ!
次に国内発生からの大騒動ですが,これもちょっと騒ぎすぎましたね.そもそも今回発生したインフルエンザは弱毒性で従来のインフルエンザと変わらないレベルの毒性しかなかったのです.ただ,危機管理という点からいけばまずは最悪の場合を想定した措置をとること事態は悪くはないと思います.というか,わが国には強毒性の新型インフルエンザが発生した場合のモデルしかなかったのですから,その時のリハーサルもかねてそのモデルを発動することはまあいいかと思うわけです.
そのモデルとは,国内発生早期では徹底的に患者を隔離し蔓延を避けるということに重点が置かれ,発熱のある疑い例は一般の医療機関を受診せずに所定の発熱外来を受診し,感染例と診断されれば入院,隔離されます.ところが,ある程度患者が増えてしまって蔓延期となればこの方針は180度転換され,疑い例は一般の医療機関で診療,感染例と診断されても軽症例は自宅待機,重症例のみ入院ということになります.今回はこの転換がスムースに行われなかったことが医療現場に少なからず混乱をもたらしたように思います.そもそも「国内感染早期」はそう長く続きません.というか,国内発生早期の体制をそう長くはとれないということです.感染症を隔離することのできる病床数には非常に制約がありますので,まず病床がパンクします.また,発熱外来というのもハード,ソフト両面で限りある医療資源ですので,次には発熱外来がパンクします.この時点でもう蔓延期として対応せざるを得ないのです.つまり,今回のことを考えると,今回のインフルエンザと同等の感染力を持つ感染症の場合,国内で初めての症例が確認されてから蔓延期となるまで一週間以内ということが言えます.今回の場合には,通常のインフルエンザと同等の毒性ということがわかっていたわけですから,発熱外来や隔離病棟のキャパシティーがいっぱいになった時点ですみやかに蔓延期での対応に移行すべきでした.少なくとも数日遅かったですね.
それからマスク騒ぎ.これはちょっと滑稽でした.そもそもマスクの意味の大部分は咳やくしゃみが出る人がマスクをすることによって,その人の飛沫が飛び散らないという点にあるのであって,健康な人が普通に町を歩く時にマスクをかける意味は全くないと言ってよいでしょう.
考えてみると,今回の騒動はある意味医学の進歩がもたらしたものです.たとえばインフルエンザの診断キットが世の中になかったらどうでしょう(事実,このキットが使用されるようになったのは,たかだかここ10年ほどのことです.)?「今年はかぜのシーズンが例年より少し長く続くなぁ」って感じるか感じないか位で終わっていたでしょうね.
一方,今回のインフルエンザが強毒性であったとしたらどうでしょう?感染病棟や発熱外来は量的,質的に十分だったでしょうか?とてもそうは言えそうにありません.国内第一例の発生から一週間と経たないうちに,われわれ一般の診療所が疑い例や感染者の診断,治療にあたらなければなりません.準備はいいでしょうか?この秋から予想される第二波による大流行が危惧されるところです.
最近、「○○年齢」という言葉がよく使われますね。女性がもっぱら気にするのは「肌年齢」でしょうか?かく言う私も、体脂肪率が同時に測れる体重計に乗っかって「からだ年齢」ってやつを測定するのが毎日の日課になっています。
まだあまりポピュラーではないかも知れませんが、「肺年齢」というのもあるのです。これは肺機能検査の普及や、それによる肺機能障害の早期発見をめざして考案されたもので、肺年齢の測定には肺機能検査による努力性肺活量と一秒量の測定が必要です。努力性肺活量とは、胸いっぱいに息を吸い込んで一気に吐き出した時に吐き出すことの出来る空気の総量のことで、一秒量とはそのうち最初の一秒で吐き出すことのできる空気の量のことを言います。こんな説明をして一秒量の数値をいくらいくらと言われても、それがいいのか悪いのか、一般の方にはわかりにくいですよね。そこで、これらの数値を使って肺年齢を算出し、実年齢との差がわかるようにすることでご自分の肺の機能やその変化を理解しやすくしようというのが肺年齢のねらいです。健康管理の一環として、あなたも一度測定されてみてはいかがですか?たばこを吸われる方、かつて吸われていた方には特にお勧めです。肺年齢の測定には肺機能検査が必要ですので、肺機能検査が実施できる医療機関を一度受診される必要があります.
ちょっとやってみたところ、私の肺年齢は39歳でした。趣味で測っているからだ年齢の方は日によって違い、ちょっと運動をさぼったり食べ過ぎたりすると一日で二歳くらい年をとったりするのですが(肺年齢はこんなにいいかげんじゃないですよ!)、最近はだいたい40歳から42歳くらいです。わずかではありますが肺の方が若かったので、呼吸器内科専門医としての面目が保てたかなぁ、などと思っております(^^ゞ
ちなみに実年齢は今年50歳になります!
喫煙することにメリットはありません。
たばこをすうと落ち着くとか、集中力が増すとか思われるスモーカーの方、それは逆に言うとたばこを吸わないと落ち着いていられない、たばこを吸わないと集中力が出せない、ということで、それこそがまさに喫煙が薬物中毒であることの何よりの証拠です。世の中には、たばこを吸わなくても十分な集中力を発揮できる人や、落ち着いていられる人はいくらでもいるのです。悔しくありませんか?
かくいう私もスモーカーでした。私がたばこをやめたのは、もちろん呼吸器科医という職業的な自覚や自らの健康のためというのもありますが、たばこのようなくだらないものに依存しているという事実を自分自身のプライドが許さなかったということによる所が大きかったです。
たばこはあなたの健康と周囲の健康を確実に害します。幸い、2006年春から禁煙指導やニコチン代替療法を用いた禁煙治療に、指定医療機関においては健康保険が適用されるようになり、経済的な負担もずいぶん軽減されました。この機会にあなたもたばことさよならしませんか?
自分自身の禁煙経験や呼吸器内科医としての知識と経験を生かし、みなさんのお手伝いをしたいと思っております。お気軽にご相談ください。
現在、頭皮に塗布するタイプの育毛剤や脱毛治療薬は種々のものが薬局などで販売されていますが、飲むタイプの治療薬は医師による処方が必要です。
この薬剤は1日1回、1回1錠服用するもので、健康保険の対象外ですので全額自費となります。
1回の診療に付き28錠、4週間分のお薬をお出しいたします。診療費とお薬代を含めた費用は初回が10,000円、2回目以降が8,000円です。(すべて税込価格)
睡眠時無呼吸症候群とは、その名のとおり寝ている間に頻繁に呼吸が止まる病気です。このために、夜間の熟眠が妨げられて昼間の眠気が生じ、仕事の能率が上がらない、疲れがとれないなどの症状が起こります。また、車を運転する方では頻繁に居眠り運転をして事故の原因にもなります。さらに恐ろしいことには、無呼吸によって血液中の酸素の値が低下するため高血圧や心臓病がおきやすくなり、程度がひどい場合には突然死の危険すらあると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群の発症要因の一つは肥満であり、この病気が太っている人に多いのは事実ですが、やせ型の人は絶対大丈夫かというとそうではありません。実はこの病気の原因として一番重要視されているのは顔の骨格で、わかりやすく言えばあごが小さく、少し奥まっているようなタイプの人に起こりやすいと考えられます。最近、食生活の変化で堅いものを噛むことが少なくなったせいかあごの発達が悪くなる傾向にあり、このような人ではあまり肥満がなくてもこの病気が起こってきます。
このように、睡眠時無呼吸症候群は食生活とも密接な関係があると思われます。また、その発症要因の一つである肥満自体、深夜の食事やストレスからくる摂食異常、運動不足など現代の生活習慣を反映して起こっており、実際の患者さんの話を聞けば聞くほど、この病気の「現代文明病」的な側面に気付きます。先進国でのこの病気の頻度は、全人口の3%とも5%とも言われ、20人~30人に1人はこの病気の人がいるということになります。あなたや、あなたの周りの人は大丈夫ですか?
睡眠時無呼吸症候群ではないかと疑う第一歩はいびきです。いつもいびきをかくということ自体が病的ですが、いびきの大きい人の中にひどい無呼吸の人が含まれています。逆に言うと、いびきをかかない人はこの病気の心配はまずありません。
睡眠時無呼吸症候群の診断には、呼吸や酸素の値などを検出するモニターを装着して眠っていただく必要があります。専門施設に入院して行う方法もありますが、当院ではご自宅にモニター装置を搬入させて頂いてご自宅で検査を行う方法をとっております。この病気の診断や治療には、健康保険が適用されます。お気軽にご相談下さい。
1. 初診時
まず問診、血圧測定などの診察をさせて頂きます。
診断のための検査(終夜睡眠ポリグラフィー)を行います。
当院から検査機器業者へ検査の申し込みを行います。
業者から患者さんへ直接連絡して都合の良い日時をうち合わせの上、機器をご自宅へ搬入して装着法、使用法のご説明を致します。
ご自宅で検査機器を装着して普通に眠って頂きます。
翌日以降、業者が機器を引き取りに伺います。その後、機器内に記録されたデータを取り出して当院へ報告します。
検査終了後一週間以内にはデータが当院に到着しておりますので、再度当院へお越し下さい。検査データや治療法についてご説明させて頂きます。
(念のため、再診の前に検査データが当院に届いているかどうかをお電話でお問い合わせ頂いても結構です)。
※ 初診時は、初診料と検査料とで10.000円程度かかります。
健康保険が適応されますので、2割負担の方なら2.000円程度、3割負担では3.000円程度をご負担頂くことになります。
2.再診時
(ア) 再診時には、解析されたデータをもとに睡眠時無呼吸症候群かどうかの診断、およびその重症度の診断を行い、重症度に応じて治療法を決定します。
(イ) 睡眠時無呼吸症候群の治療法は以下の3つに代表されます。
なお、1.は当院にて導入、管理させて頂きますが、2.の場合には口腔内スプリント作製に関心を持たれている歯科、口腔外科を3.の場合には耳鼻科をご紹介することになります。
3.持続陽圧呼吸療法(CPAP)について
(ア) 現在、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に対する最も標準的な治療法と言えます。
(イ) 専用の機器にシリコン製のマスクを接続して鼻に装着し、この機械を通じて風を送り込み、その圧力でのどのつまりを解除して無呼吸を防ぎます。
(ウ) 必要となる圧力には個人差がありますので、適正な圧を設定する必要があります
(当院では、このプロセスもご自宅で機器を使用していただきながら行います)。
(エ) この治療法には月々16.000円程度の費用がかかります。健康保険が適用されますので、 2割負担の方なら3.200円程度のご負担となります。
(オ) この治療法を続ける限りは必ず1ヶ月に1回の通院受診が必要です。